技術・人文知識・国際業務の「人文知識」とは?単純な事務仕事では認められない理由
外国人が日本で働くための在留資格「技術・人文知識・国際業務(技人国)」。
このうち「人文知識」では、経理、営業、マーケティング、人事、総務など、文系分野の知識を活かした業務が対象となります。
しかし、「事務職だから技人国で働ける」というわけではありません。
重要なのは、その仕事に一定水準以上の専門的な知識や技術が必要かどうかという点です。
今回は、「人文科学の分野に属する知識を必要とする業務」がどのように考えられるのか、具体例を交えて解説します。
「人文知識」とは?
技人国における「人文知識」とは、簡単にいうと、大学などで学ぶ人文科学・社会科学系の知識を活かして行う、一定程度以上の専門性を必要とする業務を指します。
単に経験を積むことで身につく作業ではなく、学術的・体系的な知識を業務に活用することが求められます。
そのため、
«「経験があるからできる仕事」»
というだけでは、技人国の「人文知識」に該当するとは限りません。
「一般事務なら技人国」は間違い
例えば、
- データ入力
- 伝票入力
- 給与計算
- 書類整理
- 会計ソフトへの単純な入力
など、一般的な事務作業だけを行う場合、一定程度以上の専門性が認められにくい場合があります。
重要なのは、その業務を行うために、どのような専門的知識が必要なのかということです。
経理業務の場合
例えば「経理」という名称だけで判断することはできません。
単に会計ソフトへ数字を入力するだけではなく、
- 仕訳
- 簿記
- 財務・会計に関する知識
- 決算に関する業務
など、一定程度以上の専門的知識を必要とする業務であれば、「人文知識」に該当する可能性があります。
一方、伝票入力や給与計算など、一般的な事務作業が中心となる場合には注意が必要です。
Web制作も「専門性」が重要
自社ホームページの作成・更新業務についても同じ考え方ができます。
一般的なホームページ作成ソフトを使って、決められた作業を行うだけでは、一定程度以上の専門性が認められにくい場合があります。
一方で、
- プログラムを組む
- 専門的なWeb技術を用いる
- システム開発を行う
など、より専門的な知識・技術を必要とする業務であれば、仕事内容によっては「技術」の分野で検討できる場合があります。
つまり、「ホームページを作る」という業務名だけでは判断できないということです。
「未経験OK」の仕事だから技人国ではない?
求人票に、
「未経験歓迎」
「すぐに覚えられます」
などと書かれている業務は、一般的には高度な専門知識を必要としない仕事であると評価される可能性があります。
また、日本人従業員が通常、特別な学歴や専門的な実務経験を必要とせずに行っている仕事であれば、技人国の対象となる「専門的な業務」と認められにくい場合があります。
もちろん、求人票の一文だけで判断されるものではありません。
重要なのは、実際に外国人が担当する業務の内容と、その業務に必要とされる知識・技術のレベルです。
技人国と特定技能などの違いも重要
近年は、特定技能など、一定の現場業務を対象とする在留資格も整備されています。
そのため、技人国については、
「専門的な知識・技術を必要とする業務」と、
「現場での作業を中心とする業務」
を適切に区別することが重要になっています。
例えば、同じ会社の中でも、
「商品の品出しや販売を主に担当する仕事」と、
「店舗の人事管理、予算管理、在庫管理、品質管理などを専門的に担当する仕事」
では、在留資格該当性を考えるうえで意味合いが異なります。
店舗業務でも技人国が認められる場合がある
一見すると「店舗で働く仕事」は現場業務に見えます。
しかし、例えば大手小売業などで、本社勤務や将来的な管理職を目指すキャリアステップの一環として、一定期間店舗で研修を行うケースがあります。
日本人社員も同様のキャリアステップを経験するなど、会社全体の人材育成の仕組みの中で店舗業務が位置づけられている場合には、業務全体を考慮して技人国の該当性が認められるケースがあります。
ただし、店舗での接客・販売などの現業的な業務が中心となる場合は注意が必要です。

「専門性」をどのように説明するかが重要
専門性が非常に高度な仕事でなくても、技人国として認められる可能性はあります。
その場合、申請では、
「なぜこの仕事に専門的な知識が必要なのか」
を具体的に説明することが重要です。
例えば、次のような点を整理することが考えられます。
① 実際に担当する業務を具体的にする
「営業」「事務」「店舗管理」など、職種名だけで説明するのではなく、
- 何をするのか
- 誰を相手にするのか
- どのような判断をするのか
- どのような知識を使うのか
まで具体的にします。
② 現場作業との違いを明確にする
技能実習や特定技能などで行われる業務と比較して、
どこに専門性があるのかを説明することも重要です。
③ 専門業務を担当する人材が必要であることを示す
単純な現業業務を担当する人材とは別に、専門的な業務を担当する人材として採用することを明確にします。
④ 業務に見合った待遇であること
専門的な業務を担当する人材として、それにふさわしい給与・待遇であることも重要です。
⑤ 日本人社員の業務内容も参考になる
同じ会社で同種の仕事をしている日本人社員について、
「未経験者や高卒者が一般的に担当している仕事なのか」
「関連する専門分野を学んだ大卒者などが担当している仕事なのか」
という点も、専門性を考えるうえで参考になります。
まとめ
技人国の「人文知識」で重要なのは、単に「事務職」「営業職」「経理職」といった職種名ではありません。
ポイントは、その仕事を行うために、一定水準以上の専門的な知識・技術が必要なのかということです。
特に、
- 一般事務
- 経理
- Web制作
- 店舗業務
- 営業
- 人事・総務
などは、仕事内容によって専門性の評価が大きく変わる可能性があります。
そのため、技人国への変更・認定を検討する際には、
「この人は何の仕事をするのか」だけではなく、
「その仕事には、なぜ専門的な知識が必要なのか」
まで具体的に整理することが重要です。
外国人を採用する企業にとっても、求人票や雇用契約書に職種名だけを記載するのではなく、実際に担当する業務内容を具体的に整理しておくことが、在留資格の検討において重要なポイントになります。
※本記事は、技術・人文知識・国際業務の在留資格該当性について一般的な考え方を説明するものです。実際の許可・不許可は、申請人の学歴・職歴、雇用先、業務内容、雇用条件その他の事情を踏まえて個別に審査されます。


