翻訳・通訳の仕事なら「技人国」で働ける?CEFR B2相当の語学力について解説

外国人が日本で翻訳・通訳などの仕事をする場合、代表的な在留資格の一つが「技術・人文知識・国際業務」です。

しかし、翻訳・通訳の仕事であれば、誰でも「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得できるわけではありません。

出入国在留管理庁は、翻訳・通訳業務など、言語能力を用いる対人業務について、どのような場合に「技術・人文知識・国際業務」に該当するのかを明確化しています。

今回は、そのポイントを分かりやすく解説します。

翻訳・通訳の仕事で「技人国」を取得するためには?

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で働くためには、単に「外国語を使う仕事」であればよいわけではありません。

「技術・人文知識・国際業務」に該当するためには、学術上の素養を背景とする一定水準以上の業務、または、日本国内の文化の中では育てられない思考・感受性に基づく一定水準以上の業務に従事することが必要です。

翻訳・通訳など、主に言語能力を用いる対人業務については、その前提として、申請人がCEFR・B2相当の言語能力を有していることが求められます。

つまり、

「外国語が少し話せる」=「翻訳・通訳の仕事ができる」

ということではありません。

業務を適切に行えるだけの、一定水準以上の言語能力が必要になります。

CEFR・B2とは?

では、「CEFR・B2相当」とは、どのくらいの語学力なのでしょうか。

CEFRは、外国語の運用能力を示す国際的な基準です。

その中でB2は、一般的には中上級程度の言語能力に位置付けられます。

出入国在留管理庁は、業務で使用する言語について、一定の条件を満たす場合にCEFR・B2相当の言語能力があるものとして評価しています。

日本語の場合

日本語については、次のいずれかのような場合にCEFR・B2相当の言語能力を有するものとして評価されます。

1┃JLPT・N2以上

日本語能力試験(JLPT)N2以上を取得している場合です。

翻訳・通訳などの仕事で日本語を使用する場合、N2以上の取得は、語学力を示す重要な資料になります。


2┃BJTビジネス日本語能力テスト400点以上

BJTビジネス日本語能力テストで400点以上を取得している場合も、CEFR・B2相当の日本語能力があるものとして評価されます。


3┃日本に20年以上在留している

中長期在留者として、20年以上日本に在留している場合も対象となります。


4┃日本の大学等を卒業・修了している

日本の大学を卒業した場合や、日本の高等専門学校、専修学校の専門課程・専攻科を修了している場合も、一定の条件のもとで対象となります。

ただし、専攻科目と業務内容との間に関連性が認められることが原則として必要です。

なお、文部科学大臣の認定を受けた「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」の対象となる専修学校の専門課程等を修了した場合は、この関連性について柔軟に判断されます。


5┃日本の義務教育を修了し、高校を卒業している

日本の義務教育を修了し、さらに日本の高等学校を卒業している場合も、一定の日本語能力を有するものとして評価されます。

日本語以外の言語の場合は?

翻訳・通訳の仕事では、英語、中国語、韓国語、ベトナム語、ネパール語など、日本語以外の言語を使用するケースもあります。

この場合、次のような事情が考慮されます。


1┃母国語または公用語である

その言語が、申請人の母国語または公用語である場合です。

例えば、その外国人にとって母国語である言語を使用して通訳業務を行う場合、その言語能力について一定の評価を受けることができます。


2┃CEFR・B2以上の試験結果がある

その言語について、CEFR・B2以上であることが証明された試験を受けている場合も対象となります。

ただし、単に「英語の試験で高得点だった」というだけではなく、証明書や試験の公式ホームページ上で、CEFRのレベルが明示されている試験であることが必要です。


3┃その他、合理的な理由によって語学力が明らかな場合

母国語でも公用語でもなく、CEFR・B2以上を証明する試験結果もない場合でも、業務上必要な言語能力を有していることを合理的に説明できる場合があります。

例えば、

その言語が公用語として使用されている国の大学に留学していた

といったケースです。

この場合、卒業証明書などによって留学経験を証明することが想定されています。

企業側も「語学力」を確認することが大切

翻訳・通訳などの仕事で外国人を採用する企業にとっても、この基準は重要です。

「英語が話せるから」「外国人だから」という理由だけで技術・人文知識・国際業務の在留資格に該当すると判断するのは危険です。

採用する人が、

  • どの言語を使用するのか
  • その言語をどの程度使えるのか
  • どのような業務を担当するのか
  • CEFR・B2相当の語学力をどのように証明するのか

を事前に確認しておくことが重要です。

特に、所属機関がカテゴリー3または4に該当する場合には、申請時に語学能力を証明する資料の提出が求められます。

「N2を持っていれば必ず許可される」という意味ではありません

例えば、外国人がJLPT N2を取得していたとしても、

「N2を持っているから、技人国の在留資格が必ず許可される」

という意味ではありません。

今回の基準は、あくまで翻訳・通訳などの言語能力を用いる対人業務について、必要となる語学力をどのように評価するかを明確化したものです。

実際の在留資格審査では、

  • 申請人の学歴
  • 専攻
  • 職歴
  • 雇用契約
  • 実際の仕事内容
  • 業務内容と学歴等との関連性
  • 会社の事業内容
  • 給与・雇用条件

など、さまざまな事情が確認されます。

したがって、語学力の基準を満たしていることと、技人国の在留資格が許可されることは別の問題として考える必要があります。

翻訳・通訳で「技人国」を申請するときは業務内容が重要

翻訳・通訳の仕事で在留資格を申請する場合には、単に「翻訳・通訳」と書くだけではなく、

「実際にどのような場面で、誰に対して、どの言語を使って、どのような業務を行うのか」

を具体的に説明することが重要です。

例えば、

  • 外国人顧客への通訳
  • 海外取引先との商談時の通訳
  • 社内文書・契約書等の翻訳
  • 外国人従業員への業務上の通訳
  • 海外向け資料の翻訳

など、具体的な業務内容によって申請の説明も変わってきます。

まとめ

翻訳・通訳など、言語能力を用いる対人業務で「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得する場合、CEFR・B2相当の言語能力が重要なポイントになります。

日本語であれば、

  • JLPT N2以上
  • BJT400点以上
  • 日本に20年以上在留
  • 日本の大学等を卒業・修了
  • 日本の義務教育を修了し、高校を卒業

などが、CEFR・B2相当の言語能力を有するものとして評価される基準として示されています。

また、日本語以外の言語についても、母国語・公用語であることや、CEFR・B2以上を証明する試験結果、留学経験など、一定の基準があります。

ただし、語学力の条件を満たすだけで「技人国」が許可されるわけではありません。

最終的には、申請人の学歴や経歴、雇用先の事業内容、実際に担当する業務などを含めて、在留資格への該当性を判断する必要があります。

翻訳・通訳の仕事で「技術・人文知識・国際業務」への変更・取得をお考えの方、外国人の翻訳・通訳スタッフの採用を検討している企業の方は、お気軽にご相談ください。